アイヌ語で自然かんさつ図鑑
オヒョウ
アイヌ語 / 語源
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【アイヌ語名】アソピウ/asopiw【日本語名】オヒョウ
アソピウはオヒョウの繊維のみを指すことがあります
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【アイヌ語源】アッ-ニ(別名)【意味】オヒョウ樹皮の木
アイヌ文化
生活
オヒョウはアイヌの人たちの伝統的な衣服であるアットゥㇱ(靭皮衣:じんぴい)を作るための繊維を採取する木です。
7月ころに木の根元から上に向けて樹皮をはぐと、きれいにはがれます。この樹皮の内皮だけを沼や川などに1か月ほど浸けておきます。すると皮がふやけて層に分かれるので、よく水洗いして各層ごとにはぎ取り、乾燥させます。それを細かく裂いて糸を作り、さらに糸玉にします。これをイシタイキニ(織り機)にかけて布を織り、それを仕立てるとアットゥㇱができあがります(帯広・本別)。
自然観察
ニレ科でハルニレに近い樹種です。
先がいくつにも分かれたような、変わった形の葉が枝の先の方に付きます。葉の形は一定しておらず、枝の奥の方にはハルニレと同形の小さい葉が付いています。学名Ulmus lacinia(ニレ属 裂片にわかれた)はこの葉の形に由来するようです。
オヒョウの樹皮は柔らかく、樹皮の中ではエゾシカが好んで食べることでも知られています。
帯広市街地周辺の林では少ない樹種ですが、音更や清水町、中札内村など多くの地域で普通に見られます。
※靭皮とは、樹木の成長につれ外側にはがれていく部分を樹皮、その内側に残る柔らかい部分を靭皮や内皮と呼びます。特に必要がなければ、これらは区別せず樹皮と呼びます。