アイヌ語で自然かんさつ図鑑
ドロノキ
アイヌ語 / 語源
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【アイヌ語名】ヤイニ/yayni【日本語名】ドロノキ
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【アイヌ語源】ヤイ-ニ【意味】ただの木
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【アイヌ語源】クㇽ-ウン-ニ(別名)【意味】魔神の住む木
アイヌ文化
精神が悪い木なので薪にしてはいけないなど、悪い神様として扱われることが多い木です。
伝承
コタンカㇻカムイ(創造神)がこの世をつくったとき、最初に生えた木がドロノキでした。この木で火を起こそうとしたところ、もみくずが出るばかりで火がつかず、そこから魔神が生まれました。そこで次に生えたハルニレで試すと火がつき、そこからは火の神など位の高い神がみが生まれ、人間たちが祭るようになりました(知里)。
自然観察
別名ドロヤナギやデロといいます。ヤナギ科ポプラ属の高木で、大きな川沿いによく見られる樹種です。洪水の跡などに、他のヤナギ類とともに急速に生育して林になります。
成長が早く年輪の間隔が広く柔らかいため、建築材には利用できず、かつてはマッチの軸や下駄に多く使われました。現在は柔らかさや匂いが少ないことを活かして食品用の箱や経木に使われます。
木が柔らかいとキノコ類が侵入しやすいので、これを防ぐためにドロノキの中には炭酸カルシウムの結晶が多く含まれており、これが燃えにくさと関係があるのかもしれません。
5月には花が咲き、6月には種子を包んだ大量の綿毛を風に飛ばします。高木としては落葉が最も早く、9月上旬には葉が落ちまじめます。