リウカ

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アイヌ語で自然かんさつ図鑑

エゾシカ

アイヌ語 / 語源

  • 【アイヌ語名】ユㇰ/yuk【日本語名】エゾシカ
  • 【アイヌ語源】ユㇰ【意味】獲物
  • 【アイヌ語名】ピンネラウ【日本語名】若雄
  • 【アイヌ語名】メマンペ【日本語名】若雌
  • 【アイヌ語名】アㇷ゚カ【日本語名】老雄

アイヌ文化

地域、年齢、性別によっていろいろな呼び名があり、⾜寄ではポイユㇰ(1才) 、リヤウ(2才雄)、リヤポイユㇰ(2才雌)などと呼ばれています。
エゾシカはサケと並ぶ重要な食糧資源でした。また、毛皮は衣服や靴の材料や交易品として、角は小刀の鞘や交易品として利用されました。腱は弓の弦や糸に、骨は矢の中柄などに使われました。

古くは鹿笛で呼び寄せて弓矢で捕獲したり、大勢で崖に追い込む追い落とし猟、柵で囲った場所へ囲い込む猟などさまざまな方法で捕獲しました。鹿追町の旧名のクテㇰウシは「追い込み猟の柵があるところ」という意味だといわれています。

食用

肉を細く裂いて炉の上で乾燥させ、それからプ (食料庫)で保存しました。食べるときは鍋ものにして煮て食べました(帯広・本別)。

生活

皮でウㇽ(そで無しの毛皮服)やケㇼ(靴)を作りました。また、皮や角を交易品にしていました。ケㇼには脚の毛皮を使い、ちょうど皮の膝の部分がかかとになるように作ったそうです(帯広・本別)。

信仰

多くの動物は捕獲したあとでオプニレ(霊送り儀礼)をしますが、帯広や本別などではシカには行っていません。

自然観察

日本に分布するニホンジカの北海道産亜種をエゾシカと呼びます。雄は最大で体長190cm体重130kg、雌は体長150cm体重80kgに達し、亜種の中ではもっとも大型です。山と平地を季節移動する習性があり、夏と冬で100km以上も往復した例が知られています。十勝地方では、日高山脈や阿寒などの周辺や、海岸近くの森林に多く見られ、ときおり市街地にも姿を現します。
夏はササや草本類、冬は雪を掘りササやナラ類の木の芽を食べます。これらが不足するとオヒョウなど、多くの樹種の皮を食べます。
明治12(1879)年や同37年の大雪と、その頃の乱獲で絶滅寸前になりましたが、二度の禁猟期間をのあと、昭和30年代から道東地域を中心に急激に増加しました。エゾシカの推定生息数は平成23(2011)年に77万頭に達しましたがその後減少し、令和元年では67万頭と考えられています(渡島、檜山、後志を除く)。
このため、シカとの交通事故や造林地、農作物への食害だけではなく、シカの盛んな摂食による、森林生態系への影響が心配されています。