Obihiro Centennial City Museum

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イクパスイ(ikupasuy)とイナウ(inaw)
[儀礼具]

ヌサ(祭壇)

イクパスイ(ikupasuy:捧酒箸(ぼうしゅはし))は、人間の(いの)りをカムイ(kamuy:神)に伝える儀礼具(ぎれいぐ)で、先端(せんたん)に酒をつけて(いの)ることで言葉がカムイにとどく。ノリウツギやイチイなどの木で作られ、表面に彫刻(ちょうこく)がほどこされる。イナウ(inaw)は人間の(いの)りをカムイに伝えるためにささげられる儀礼具(ぎれいぐ)で、ヤナギやミズキなどをけずって作られる。火をはじめとする家の中のカムイや、屋外の祭壇(さいだん)にまつるカムイにささげられる。

アイヌ語用例

アイヌ語

イクパスイ:捧酒箸
タアン カムイ オレン エㇱタㇷ゚ パスイ クトゥリ ル アン ネ。

taan kamuy or en estap pasuy ku-turi ru an ne.

この神へ私は捧酒箸を伸ばしているのです。
【本別・沢井トメノ氏『アイヌ語十勝方言会話小辞典』 p. 15】